Thinksmart・法律・財務・レッスン5 中国投資の資金計画について
レッスン5 中国投資の資金計画について ①
中国に会社を設立する場合、スムースな投資資金調達計画が経営者にとって非常に重要な課題になります。外資企業が中国で資金調達をするのは少々難しい所がありますので、事前に計画する必要があります。
実際、外資企業の資金調達に対する制限を段々と中国政府は強化しています。
中国、外資の資金調達制限・人民元切り上げ思惑投機警戒(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/china/special1/20050624cb86o081_24.html
中国内資金調達の現実と中国企業展開へのイニシアチブ(YOMIURI)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/hanai/at_ha_05060801.htm
日系企業の現状と課題について
http://www.jcipo.org/shiryou/yakuinkon1.html
レッスン5 中国投資の資金計画について ②
通常、どこの国でも主な資金調達方法は下記の四つになります。
1) 自社(自己)資金
2) 銀行から借入金
3) 自社債券(社債)
4) 株式上場によっての資金調達
中国の株式上場規定では外資企業が上場することができます。しかし、上場の条件及び所要時間がかなり厳しく規定されていますので、現状この方法を利用できる日系企業は まだ1社もありません。
しかし、将来中国市場の重要性がもっと高まってくると、多くの日系企業が中国現地で人民元資金を調達するというニーズが増えてくるでしょう。「現地子会社ができるだけ現地で現地貨幣の資金を調達すること」が国際財務管理の重要な原則の一つです。ですから、将来中国で株式上場する日系企業が出てくると思います。
さて、そうすると当面日本企業が、中国で行なえる主な資金調達方法は下記の三つになります。
1) 親会社から投資及び増資
2) 親会社からの借入金
3) 銀行からの借入金(邦銀またはローカル銀行)
中国;現地での資金調達制度 (JETRO)
http://www3.jetro.go.jp/jetro-file/search-text.do?url=010011300306
レッスン5 中国投資の資金計画について ③
親会社の投資がいわゆる登録資本金になります。
ここで、登録資本金について実際よくある問題を説明いたします。
上海で新しく設立する会社の資金ニーズを事前に計画してから、登録資本金を決めること。
実際よくあるのは、法律上規定された最低の資本金額だけを考えて、新会社の必要な資金ニーズを無視し
て、最低資本金額を決めてしまうことがあります。そして、半年未満の内に資金が底をつき、慌てて増資の
手続を行います。増資の手続きは大変時間かかります。外経委の認可が必要ですし、工商局から税関まで
すべての政府部門に変更手続を行う手間もかかります。ですから、資本金は必要な金額をよく計算して、且
つ余裕を持って出資したほうがよいでしょう。
登録資本金は必ず現金である必要はありません。
固定資産でも(例えば製造ラインの設備)、無形資産でも(例えば特許)出資として認められます。ですか
ら、もし100%現金出資ではない場合、資金繰りの計画をもっと真剣にやる必要があります。
「投資総額」及び「登録資本金」の計画をすること。
「投資総額」を「登録資本金」と同じ金額にする会社がよくあります。これは大きい問題を起こす可能性があります。実際、「投資総額」及び「登録資本金」の差額が会社の外貨融資の可能枠になります。この差額をゼロにすると、会社の外貨融資の可能枠がゼロになります(資金不足があれば、一般的に増資しかできません)。例えば、もし「投資総額」が25万ドル、「登録資本金」が20万ドルになる場合、その差額の5万ドルが会社の外貨融資の可能枠です(無担保無保証ローンが範囲外)。ですから、「投資総額」及び「登録資本金」の差額が許される範囲で一番大きくすることが正解です。
レッスン5 中国投資の資金計画について ④
また、よく注意しなければならないのは借入資金調達の計画です。
「親会社がいっぱい資金を持っているので、上海の会社が資金繰りに困ったら親会社から資金調達すればよいのでは?」という考えを持っている方が結構いらっしゃいます。しかし、中国ではこの考え、非常に危ないです。
まず、親会社が上海の会社に資金を貸すことは上海の外為管理局に認可をもらわなければなりません。借入契約書をはじめ数多くの資料を揃えて提出しなければなりません。且つ、認可がおりてから、外債専用口座を開設しなければなりません。これができてから、送金して、外債専用口座に入金したお金を使う場合(例えば人民元に両替して支払う場合)、また外為管理局に申請して認可をもらわなければなりません。
結構手間がかかりますね。今日親子ローン契約書調印、明日送金、明後日資金調達というわけにはいきません。
そして、手間がかかるよりもっと厳しいのは、親子ローンは外債として定義されます。親子ローンの与信額が投資総額及び登録資本金の差額を超えてはいけません。中国政府はこの規定によって、特に中小企業に対して、親子ローンの役割を大きく制限しました。
レッスン5 中国投資の資金計画について ⑤
以前は、長期(1年以上)ローンの場合、投資総額及び登録資本金の差額を超えてはいけませんでしたが、短期ローン(担保、保証付け)の場合なら、その差額と関係ありませんでした。しかし、今では、信用ローン(無担保無保証ローン)でなければ、銀行の外貨ローンの与信可能額は投資総額及び登録資本金の差額を超えてはいけません。そのため、今年増資を行う外資企業の数が随分増えました。なぜかというと、人民元切り上げのよる原因もありますが、主な理由としては、外債の規定が厳しくなったため、突然、今までの銀行からの短期ローンを返却しなければならなくなった企業が増加したのでした。ローンを返却して、且つ運営資金の資金繰りをするために借入ではなく、増資の対応しか選択できなかったのです。
ですから、もし御社が世界的有名な会社であれば邦銀から信用ローンをもらえるかもしれませんが、一般的には「資金繰り問題があったら、邦銀上海支店から借りればいいだ」という考えを持ったのは危険になります。
レッスン5 中国投資の資金計画について ⑥
読者からの質問
中国の地場銀行から資金を借り入れることが非常に難しいと聞きましたが、実際にはどうでしょうか?
ハリソンの回答
確かに、地場銀行から与信額を貰うのは難しいです。
邦銀の場合、日本で親会社との長年の業務関係がありますので、上海の会社に対する与信額を提供することはより簡単です。
地場銀行に借入を要請する場合、通常担保を要求されます、例えば、工場や設備などを担保として地場銀行に申請すれば、与信をもらえる可能性が大きくなります。ですから、生産企業より貿易企業が地場銀行の与信をもらうのは難しくなります。
以前、上海の日本企業が人民元を必要とする場合、邦銀に申請を提出して、邦銀から地場銀行にStand-by L/Cを発行して、地場銀行から人民元を上海の日本企業が借り入れていました。
しかし今ではこの方式でも、企業の投資総額及び登録資本金以内に行わなければなりませんので、実際使われるケースも少なくなります